今回のおはなし
みなさんこんにちは。
VIPPOOL でエンジニアをやっています、星月です。
前回までで、楕円曲線上にある 1 つか 2 つの有理点から、
異なる有理点を見つける、という作業についてみてきました。
今回は、その作業についてもう少し詳しく考えてみましょう。
「新たな点を見つける」という演算
与えられた楕円曲線と、2 つの有理点から、異なる有理点を導き出す操作。
りんごが 1 個(点 P)と、別のりんごが 1 個(点 Q)から、りんごが 2 個ある状態(点 S)を導き出すのと
まったく同じ構図であることに、気づいたでしょうか?
そう、P と Q から S を求める。これもまた、足し算と同じ「演算」と呼べるのです。
点と点を足し算する演算、つまり「群」であるわけです。
群であることを確かめてみましょう。
演算が閉じている
線を引いて交点を求めるので、演算については閉じていることがわかります。
もちろん、無限遠点を含めれば、の話ですが。
逆元は x 軸に対して対称な点
前回お話した通り、( x, y ) と ( x, -y ) を足すと無限遠点になります。
つまり、点 P ( x, y ) と点 -P ( x, -y ) の足し算は単位元になるわけで、
( x, y ) と ( x, -y ) は逆元の関係にあることがわかります。
可換群である
2 つの点を通る直線を引く、という操作から始まるので、
どちらがどちらでも結果は変わらないことはお分かりと思います。
つまり、この群は可換群といえます。